2024年2月13日

準天頂衛星システム「みちびき」を活用した車線別路面状況提供サービス フィリピンで実証実験を実施

株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバル、パシフィックコンサルタンツ株式会社(本社:東京都千代田区神田錦町3丁目22番地、代表取締役社長:大本修)は、フィリピンにて「みちびき」を用いた一般車両による車線別路面情報提供サービスの実証実験を実施し、サービスの実用化に向けた検討を行っており、2024年2月にマニラで実証実験を行いました。

「みちびき」による路面測定

 

実証試験での走行の様子

プレスカンファレンスの様子

「みちびき」とは、準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システムのことで、スマートフォンの地図アプリ等で位置を特定すること等によく用いられるGPSを補い、安価に高精度で安定した衛星測位サービスを実現します。「みちびき」は日本のみならず、アジア・オセアニア地域で利用することができるため、今後は当該地域での「みちびき」を活用した新たなビジネス展開が期待されています。
フィリピンでは、道路利用者に安全・快適な走行を提供するために、道路管理者による適切な路面の点検・補修を実施する必要がありますが、それを持続させるための維持管理コストの確保が課題となっております。本サービスは、「みちびき」と一般車両に搭載されている車載センサーを用いることで、センチメーター級の精度を持つ位置情報、及び、路面の凹凸情報を計測し、それらのデータを解析することで、従来のような高価で特殊な装置を必要とせず、効率よく車線別にポットホール等の路面の損傷箇所を検知することができます。また、「みちびき」を用いて車線別の路面情報を収集することで、従来と比較して車線別の点検コストを抑えられるだけでなく、計測したデータを用いて路面の劣化を予測し、補修すべきタイミングを最適化することで、維持管理全体にかかわるコストの抑制にも貢献できます。

本実証では、マニラ首都圏とルソン北部・中部を結ぶ3つの主要高速道路の建設・運営事業者であるNLEX Corporationと連携し、実証実験を展開しています。2023年10月に続き2024年2月に2回目の走行実験を行い、「みちびき」を用いた走行データと、NLEX Corporationが計測した運転者の乗り心地を評価化した国際的な指標であるIRI(International Roughness Index)との関係性について分析しており、2023年10月の走行データとIRIとの間に相関性の検証を行っています。今後は実証実験の結果を踏まえ、本サービスの実用化に向けた取り組みを進めていくところです。
また、「みちびき」では緯度・経度以外に高精度の標高データも取得することができ、これにより路面高の低い地点を把握することで、浸水しやすい路線を把握するなど、防災面での「みちびき」を活用した新たなサービスも期待されています。

今後も調査・検討を進め日本の「みちびき」を活用したデジタルサービスソリューションサービスの導入によるフィリピンの安心・安全なモビリティ社会の実現を目指します。

※本実証事業は、総務省の受託業務(アジア・太平洋地域における準天頂衛星システムを活用したモビリティ分野の安心・安全に資するシステム等の実証及び事業展開に係る調査請負)として実施しております。

 

OC Globalは日本の衛星測位システムのアジア・太平洋地域への展開を促進することで、当該地域の安全・安心なモビリティ社会の実現を支援します。