2025年9月1日
フィリピンにて日本の耐震補強技術に関するワークショップを開催
2025年8月13日から15日まで、株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバル総合開発事業部建築開発部は、フィリピン国マニラ市にて、日本の耐震補強技術に関するワークショップを開催しました。
本ワークショップには、フィリピン国公共事業道路省各部局(UPMO、BOD、BOC、BRS)をはじめ、フィリピン構造技術者協会(ASEP)やPetro Jikken、TCGI、EH Sisonなどの現地コンサルタント企業から約60名が参加しました。将来的にフィリピン国内で耐震補強の国家ガイドラインを策定する際の基盤となることが期待されています。
ワークショップ出席者
本ワークショップは、当社が従事している「世界銀行 Philippines Seismic Risk Reduction and Resilience Project (PSRRRP)-Firm4」の一環として行われたものです。本プロジェクトは公立学校・病院施設、計172棟の耐震補強設計と計212棟の施工監理を2028年までに実施するもので、今回のワークショップは、本プロジェクトで適用する日本の先進的な耐震技術を、フィリピンの設計審査・承認に携わる行政担当者や実際に耐震補強設計を行う技術者に紹介し、設計プロセスにおいて安全性と実現性を両立させることを目的としています。
ワークショップ冒頭、フィリピン公共事業道路省(DPWH-UPMO-BSPMC)Director Soledad Florencio氏から開会あいさつを頂き、その後、本プロジェクトのプロジェクトマネージャーである当社建築開発部 川井正人が、構造的に安全であるだけでなく、迅速かつ効率的に施工可能な補強の重要性を訴えました。また、「先進的=難解」ではないという点を強調し、新技術の導入による工期短縮と効率向上の可能性を述べました。講師には、石山祐二先生(北海道大学 名誉教授)らを迎え、当社建築開発部、道路技術部の技術者も講師を務めました。
技術者と行政担当者が自由に意見交換できる貴重な場となり、日本の先進技術がフィリピンの公共インフラの耐震性向上にいかに貢献できるかについて、理解を深める機会となりました。
開会あいさつ
DPWH UPMO-BSPMC
Director Soledad Florencio氏
当社建築開発部 川井正人
本ワークショップは以下の3つのセッションで構成され、各分野の専門家が講演しました。
- 日本および世界の建築における耐震補強の制度や実施状況の概要紹介 (マニラでの事例を含む)
- 非線形解析、新旧技術の統合、そして耐震補強方法の選定に関する重要な指針となる「OC Global SAFE TOOL(Selection of Appropriate Framework for Enhancement)」の提案
- 座屈拘束ブレース、鋼製パネルダンパー、トグルブレースなどの具体的技術の発表と、承認手続きを迅速化することを目的としたOC Global設計チェックリストの提案
OC Globalは、先進技術の研究と実践を通じて、フィリピン国における耐震レジリエンスの強化と技術者育成を支援します。