2024年4月8日

コンゴ民主共和国初のタクティカル・アーバニズムによる横断歩道完工 キンシャサ市都市交通マスタープラン実施促進プロジェクト

株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバルが共同事業体幹事会社*として従事している独立行政法人国際協力機構(JICA)の技術協力プロジェクト「キンシャサ市都市交通マスタープラン実施促進プロジェクト」の一環で実施したタクティカル・アーバニズムによる横断歩道の施工が完工し、2024年3月24日(日)に記念式典が開催されました。併せて、対象地区の学生を対象とした地域交流イベントや交通安全キャンペーンなどの関連イベントも開催され、参加者は横断歩道を中心として生まれた新しい公共空間を体験するとともに、都市交通マスタープラン(PDTK)や交通ルールに関する基礎的な知識を学びました。

記念式典での代表プレゼンテーション
キンシャサ都市開発ユニットTresor KATAMBO氏

記念式典での学生による
デザインコンセプトの発表

タクティカル・アーバニズムとは、地域主体のコミュニティによる短期的なアクションを長期的な公共空間の改善につなげる取り組みで、先進国の都市を中心に近年実践されている新しいまちづくりの手法です。しかし喫緊の交通課題を抱える開発途上国の都市における取り組みは世界的にも少なく、コンゴ民主共和国での前例はありませんでした。様々な現地カウンターパートと対象地区の大学生との協創による本タクティカル・アーバニズムの取り組みは同国初の試みであり、JICAの技術協力の中でも先駆けとなる事例です。

地域の大学生による横断歩道の塗装作業

施工中の横断歩道の様子

本プロジェクトは、2019年にキンシャサ州議会で承認された都市交通マスタープラン(PDTK)の実現に向けた現地関係者の能力強化を主な目的としたJICAの技術協力プロジェクトです。コンゴ民主共和国のインフラ公共事業省インフラユニット(CI)をはじめとする行政機関と当社員を含む日本側の専門家により実施されています。本取り組みは本プロジェクトのパイロット活動の一環として実施され、キンシャサ市都市開発ユニット(CDUK)と道路・排水機構(OVD)、国家交通安全委員会(CNPR)等のカウンターパートとともに、対象地区に位置する2つの大学(ISAUおよびABA)に所属する学生との協創により実現しました。この取り組みでは対象地区での喫緊の課題である交通安全に焦点を当て、「交通事故の無い道路を実現する – Tala Ngambo Na Ngambo」というビジョンに基づき、運転手と歩行者への交通安全を啓発するための新しい横断歩道のデザインが複数の大学生グループにより提案されました。大学での投票により選定されたデザインに基づき、新しい横断歩道の塗装が大学生により実施され、最終的に本取り組みに実際に参加した大学生の人数は計250名を超えました。

地域の小学生向け交通安全キャンペーンの様子

施工後の横断歩道を渡る市民

このような一連の活動を通して、新しい横断歩道に対する地区全体のオーナーシップが醸成され地域コミュニティにおける交通安全に対する持続的な意識改善が期待されます。加えてこの取り組みはコンゴ民主共和国初の事例であることから、キンシャサ市のみならず、同国の他都市や他アフリカ諸国におけるタクティカル・アーバニズムのさらなる広がりが期待されます。
*共同企業体構成:㈱オリエンタルコンサルタンツグローバル、㈱アンジェロセック、アジア航測㈱

本タクティカル・アーバニズムに関する紹介ビデオ(Tactical Urbanism – Tala Ngambo Na Ngambo)
JICA ODA見える化サイト:キンシャサ市都市交通マスタープラン策定プロジェクト
JICA ODA見える化サイト:キンシャサ市都市交通マスタープラン(PDTK)実施促進策定プロジェクト

担当者津村優磨のインタビュー:Africa Quest.com

 

OC Globalは、自社が開発途上国にて手掛ける地域コミュニティに根差した交通まちづくりの実践を通して、長期的な都市・交通環境の改善に貢献したいと考えております。