インドネシア国ジャカルタ首都圏

都市交通政策統合プロジェクトフェーズ3

プロジェクト背景

ジャカルタ首都圏(JABODETABEK)は約6,580平方キロに人口約 3,100万人(2021年)を抱える大都市である。堅調なインドネシア経済の成長とジャカルタ首都特別州に隣接する県の著しい人口増加を背景として、ジャカルタ首都特別州の車両登録台数は、2010年から2016年には約1.5倍に増加し、特に、市民の移動手段として自動二輪車が爆発的に普及した。その結果、ジャカルタ首都圏の公共交通の分担率は、2002年の約60%から2018年には約 10%まで減少し、交通混雑の著しい悪化、投資環境の悪化、排気ガスによる大気汚染、そして大きな経済的損失をもたらしている。

かかる状況に対し、インドネシア政府が公共交通の分担率を2029年までに60%まで引き上げることを目標に掲げる中、JICAはジャカルタ首都圏の都市交通課題の解決に必要な交通政策の策定や公共交通を軸とした都市の形成にかかる技術協力を進めている。「ジャカルタ首都圏都市交通政策統合プロジェクトフェーズ 2」(JUTPI2)では、将来の交通需要に対応するため、2035年を目標年次とする公共交通ネットワークと現行のジャカルタ首都圏交通マスタープラン(RITJ)の改訂にかかる提言をした。また、円借款によるMRT南北線フェーズ1が開業し(2019年3月)、フェーズ2区間の建設工事も進められる等、都市鉄道整備の資金協力も行っている。

インドネシア政府は、整備が進む公共交通の利用促進と一体となったまちづくりに向けて、交通結節点強化や駅周辺整備の必要性を認識し、公共交通指向型開発(Transit-Oriented Development:以下「TOD」という)のガイドラインを策定しているが、実施手法の検討が進んでいない。TOD実現の推進には、関係する都市計画や交通計画、開発事業者等との多様な関係者間の調整が不可欠であるが、ジャカルタ首都圏における調整・連携メカニズムが充分機能していないことが課題となっている。

こうした状況を踏まえ、インドネシア政府は、MRT等を中心とした公共交通指向型のまちづくりを推進すべく、TODにかかる実施能力強化を目的として、日本政府に対し技術協力事業の要請を行った。本業務は、ジャカルタ首都圏におけるJICAの都市交通分野協力を基にTOD推進を支援するものである。

④ ボゴール
② PT KCI (KRL通勤線)
⑤JKT
③ エアポート・レールリンク

業務概要

本プロジェクトは、ジャカルタ首都圏の公共交通システムを基盤としたまちづくりが推進されることによって、公共交通指向型開発にかかる中央政府、地方政府の実施能力が強化されることを目的に実施するもの。本業務により期待される成果を以下にあげる。

・公共交通指向型都市の開発方針が策定される
・公共交通指向型の街づくりに向けた調整メカニズムの能力が強化される
・パイロットサイトの開発計画が策定される

本調査の対象地域は、ジャカルタ首都圏における調査対象範囲は、以下のとおりである。

案件⑨

                       図 ジャカルタ首都圏における調査対象範囲

インターンシップ研修内容

上記の業務における以下のタスクに携わってもらうことにより開発コンサルタントの業務内容の理解を深める。

1) 現況把握
2) 「公共交通指向型都市の開発方針」と「TODコンセプト」の検討
3)   パイロットサイトの検討
4) リモートでのプロジェクトの運営管理補助

実施期間

8月中旬 ※期間は応相談

対象者

土木、都市工、建築などを専攻する修士課程1年