パプアニューギニア国ココポ・ラバウル

インフラ開発計画策定プロジェクト

プロジェクト背景

パプアニューギニアは、人口8.61百万人(2018年時点)を有し、ニューギニア本島の東側半分、ビスマーク諸島等600 以上の島嶼で構成されている。当国の北東部に位置するニューブリテン島は、ニューギニア本島に次ぐ第二の面積を有し、東ニューブリテン州(以下、「ENB州」という)と西ニューブリテン州で構成されている。ENB州のココポ・ラバウル地区は、全国第4位の貨物取扱量があるラバウル港及び全国第4位の利用者数があるトクア空港を有するなど、周辺島嶼部の産業・物流・人的往来の拠点となっている。主要産業は、ココアやパーム油等の一次産品の輸出であり、対外依存度が極めて高く、港や空港等の社会インフラ整備が必要不可欠である。ENB州の人口32.8万人(2011年時点)は、当国平均と同様に3%を超える増加率となっており、ココポ・ラバウル地区を中心に大きな人口増加が見込まれる。

ここのような中、ENB州は、より持続可能な開発を目指し、農産品の加工等の国内産業や観光業の育成を含む「東ニューブリテン州経済開発計画(2003-2030)」(以下、「ENBP-EDP」という)及び「東ニューブリテン州戦略開発計画(2011-2021)」(以下、「ENBP-SDP」という)を策定し、同州の開発を目指している。しかしながら、主要ネットワークとなるトクア空港からココポ、ラバウルにつながる幹線道路は、ポットホールや未舗装が多く交通に支障をきたし、トクア空港やラバウル港は、近年の需要に施設容量が追いつかない状況にあり、電力や上水道など含めた社会インフラの計画的な整備が課題となっている。

かかる状況の下、東ニューブリテン州の州都であるココポ・ラバウルにおける社会経済状況の変化を踏まえ、パプアニューギニア政府は、本プロジェクトを我が国に要請した。本プロジェクトは、2020年7月に東ニューブリテン州政府との間で署名した協議議事録(Record of Discussion(R/D))に沿って、本プロジェクト完了の10年後の2032年を目標年次とする、インフラ開発計画の策定を行う。

都市地域開発写真_HP用②

ラバウル港とラバウル市

都市地域開発写真_HP用①

豪雨被害を受けた道路

業務概要

本プロジェクトは、ココポ・ラバウル地区におけるインフラ開発計画の作成支援を実施することにより、東ニューブリテン州政府並びに関係機関の能力開発を行うと共に、調和の取れたインフラ整備の促進、及び適切な予算措置の検討に貢献することを目的に実施するもの。本業務により期待される成果を以下にあげる。

・2032年を目標年次としたココポ・ラバウル地区におけるインフラ開発計画策定
・インフラ計画の策定にかかる能力強化

本調査の対象地域は、東ニューブリテン州のココポ・ラバウル地区である。なお、2つの都市圏における調査対象範囲は、以下のとおりである。

①都市インフラ検討地域:ココポ地区及びラバウル地区の都市化エリア
都市インフラ(コミュニティ道路、上水、電力)については、ココポ地区の3つのLocal Level Government (LLG)(Bitapaka Rural LLG、Kokopo/ Urban LLG、Raluana Rural LLG)とラバウル地区の2つのLLG(Rabaul Urban LLG、Balanataman Rural LLG)における市街地の計画立案を行うものとする。

② 広域インフラ検討地域:離島を除いたココポ地区とラバウル地区、及びガゼル地区の2つのLLG(Central Gazelle Rural LLG、Vunadidir/Toma Rural LLG)
広域インフラ(幹線道路、空港、港湾)については、調査対象地域における運輸交通ネットワークを踏まえて検討するものとする。なお、対象地域の検討には、周辺地域の状況も含めて行う必要があるため、本調査では「Kokopo District, Rabaul District, and Central Gazelle RLLG, Vunadidir/Toma RLLG and Livuan/Reimbe RLLG (Gazelle District), excluding islands.(3つの地区における合計9つのLLGs)」を対象に情報収集・分析を行う。

本プロジェクトでは、地域住民や事業者を巻き込み、地域の魅力向上に資する取り組みをパイロットプロジェクトとして実施する他、インフラ開発計画で提案されたプロジェクトの中で、最優先と考えられるプロジェクトのPre-F/S調査をする。

案件⑥画像(図 調査対象地域)

図 広域インフラ調査対象地域

インターンシップ研修内容

上記の業務における以下のタスクに携わってもらうことにより開発コンサルタントの業務内容の理解を深める。

1) パイロットプロジェクトの実施補助

2) 各種再委託からのデータ整理補助

3)リモートでのプロジェクトの運営管理補助

4) その他、プロジェクトの進捗状況と学生の興味に応じて検討

都市地域開発写真_HP用③

現在は観光地としても知られている
1994年に噴火した火山

実施期間

8月~9月の2週間程度

対象者

都市計画・土木・建築系の修士課程1年の学生を優先